2017年3月17日金曜日

テレビリモコンで がん治療!??

驚異の新がん治療法は、「近赤外光線免疫療法」(別名:光免疫療法)だ。

治療にテレビリモコンを使用するわけではなく、リモコンなどに使われている「近赤外線」を利用するのだ。近赤外線は人体に無害であるが、これもうまく利用することで がん細胞を壊す新たな治療法が世界中から注目されているのだ。

「近赤外光線免疫療法」の肝となるのは、がん細胞に接着する性質を待った抗体。この抗体に近赤外線を浴びると化学反応を起こす「IR700」という色素を付けて、予め体内に送り込むのが第一段階。すると体内でIR700が付いた抗体が がん細胞に届くと、がん細胞と結合してくれる。そこで第二段階として、その部位へ近赤外線を浴びせるのだ。赤外線を浴びせられたIR700が化学反応を起こし、付着していたがん細胞が死滅させる。

抗体が付着した がん細胞に光を当てるとIR700が反応することで細胞膜の表面が傷つき、膨らんだ風船がはじけるようにがん細胞が破裂してしまう。赤外線を照射してから破裂までの所要時間は「光の量」や「傷の量」で異なるが、約1万個のがん細胞なら1~2分ほどで破裂し、傷の少ないがん細胞でも5~10分ほどで殆どが破れて死滅する。

この治療法では赤外線照射で破壊されるのは抗体のついたがん細胞だけなので、正常な細胞は全く影響を受けないことが、この新がん治療法の最大の特色だ。

新治療法の治療期間は約2日間。これほどの短時間でも、がん細胞の大部分を消滅させ、転移がんまでも治すことが可能な画期的な治療法なのだ。

近赤外光線免疫療法によるがん治療を開発しているのは、日本人研究者である小林久隆氏。小林氏は、米国立がん研究所(NCI)で新治療法の臨床適用へと研究を進めている。