2011年10月25日火曜日

免疫力を活用しがん細胞のみ攻撃する新薬

久留米大のがんワクチン、実用化へ前進

第4のがん治療法として久留米大学が開発した前立腺がん患者に対する「がんペプチドワクチン」の実用化に向けた研究が24日、独立行政法人科学技術振興機構(JST)の支援事業に採択された。開発を支援してきた県と同大学が発表した。両者によると支援額は最高20億円。5~6年後の医薬品承認を目指した臨床試験が来年度から始まる。

ワクチンを開発した久留米大学医学部の伊東恭悟教授によると、治療法はがん細胞の表面にあるたんぱく質の断片(ペプチド)を患者に注射し、がん細胞を攻撃する免疫細胞を増やしてがんの進行を抑える。

外科手術、抗がん剤、放射線治療に次ぐ第4のがん治療法で、患者自身の免疫力を活用し、がん細胞のみを攻撃する。副作用が少ないのが特長という。ただ、ワクチンは公的医療保険がきかない未承認薬。これまでに久留米大学の研究者らが出資したベンチャー企業が安全性を確認する臨床試験をしてきた。

来年度から進める臨床試験は、医薬品も手がける富士フイルムが実施。全国の施設で数百人の患者にワクチンを注射し、医薬品としての効果を確認するという。

2011年10月25日 朝日新聞